ギターのスケールをある程度覚え、

「そろそろアドリブにも挑戦してみたい」
と思い始めた頃。
自宅やスタジオでバッキングトラックを流しながら自由に弾いてみるものの、なぜか“それっぽく”ならずに悩んでいませんか?

そんなギター初心者のあなたに必要なのは、演奏の“芯”となる「テーマ(=リフ)」を最初に決めることです。
難しい理論や速弾きよりも、まずはシンプルなフレーズを決めて繰り返すことが、アドリブを音楽らしく聴かせる近道になります。
ギターアドリブ初心者は「テーマ」から始めよう!

なぜ“それっぽく”聴こえないのか?
ギターでアドリブを始めたばかりの頃、スケールは覚えたし音も出る。
けれど、いざ弾いてみると「ただ音を並べているだけ」「曲としてまとまりがない」と感じることはありませんか?
それは、演奏の中に“テーマ”が存在していないからです。

テーマとは、何度も繰り返される短い印象的なフレーズ(リフ)のこと。
これがあることで、アドリブ演奏はグッと音楽らしく、聴きやすくなります。
「Just The Two Of Us」や「Isn’t She Lovely」などの名曲には、誰でも口ずさめるようなキャッチーなテーマがあります。
そのテーマがあるからこそ、アドリブが生きてくるのです。
つまり、アドリブ初心者が“それっぽく”聴こえる演奏をしたいなら、まず最初にやるべきことは「テーマを決める」こと。
これは自由なアドリブ演奏の“軸”になってくれる存在です。
アドリブを上達させる3つの基本とテーマの役割

有名曲におけるテーマ例(Just The Two Of Us など)
ギターアドリブを上達させるためには、まず次の3つの基本を押さえる必要があります。

この3つを習得することで、「音をただ並べる」状態から「音楽として成立する演奏」へと近づくことができます。
しかし、これだけではまだ“聴かせるアドリブ”には足りません。
そこで必要になるのが「テーマ(リフ)」の存在です。
テーマがあると、なぜ演奏にまとまりが生まれるのか?
アドリブにおける“テーマ”とは、何度も登場する短いフレーズであり、いわば演奏の「主張」や「ストーリーの軸」です。
これがあると、聴く側は「戻ってくる場所」が分かりやすくなり、自然と耳を傾けたくなる演奏になります。
ジャズやソウルのスタンダード曲「Just The Two Of Us」や「Isn’t She Lovely」などでは、リズムやメロディに一貫した“テーマ”が繰り返され、その合間にアドリブが展開されていきます。

この構造があるからこそ、アドリブパートにも「意味」や「物語」が生まれるのです。
「Isn’t She Lovely」でアドリブしてみる
一発撮りでリズムもヨレていますが…Isn’t She Lovelyという曲でアドリブをして遊んでみました。
Isn’t She Lovelyは最後にペンタトニックスケールを駆け上がるフレーズが特徴的ですよね。

このフレーズがいわゆる「テーマ」と呼ばれるものです。
もともとは歌ものの曲ですが、魅力的な歌とコード進行でいつしかギターのセッションスタンダード曲になりました。
ペンタトニックスケールを覚えたら、ブルースバッキングに飽きてきたら次にこの曲で遊んでみるのもいいかもしれませんね。
実践!テーマを決めてアドリブしてみよう

テーマの繰り返しが“それっぽさ”を作る
アドリブが“それっぽく”聴こえるようになるためには、繰り返し使える「テーマ」を1つ作り、それを中心に演奏を展開していくことが大切です。
- Step 1コード進行を決める
たとえば、こんなコード進行がオススメ。
- Gmaj7 → Gm6 → F#m7 → Bm7
落ち着いた雰囲気があり、ペンタトニック系スケールと相性が良い進行です。
- Step 2使うスケールを決める
この場合、Cメジャーペンタトニックなどが扱いやすいでしょう。
まだ慣れていない方はポジションを1つに絞ってもOKです。
- Step 3簡単な「テーマ」を作る
たとえば、「ド→ミ→レ→ド」といった音をリズムに乗せて繰り返すだけで、立派なテーマになります。
リズム例として、「♪タラララ、タッター」
(リズムに特徴を持たせるために、最初のタの部分ではスライドから入ると、よりそれっぽく聴こえますよ!) - Step 4テーマを何度か繰り返す
バッキングトラックを流しながら、「テーマ → 休符 → テーマ」と繰り返してみましょう。
無理に他の音を入れなくても、まずは同じフレーズを繰り返すことを意識します。
- Step 5テーマを軸に少し発展させてみる
テーマを何度か弾いたあとに、別の音やポジションに移ることで自然な“展開”になります。
大切なのはテーマに戻ってくること。これで演奏に一貫性が出ます。
実際にテーマを決めて遊んでみる
Gmaj7→Gm6→F#m7→Bm7のコード進行でテーマを決めて遊んでみると…

簡単なド、レ、ミなどでフレーズを作ってみて、バッキングトラックに組み込んでみましょう。
そして、その上で他のポジションを鳴らして遊んでいくイメージでアドリブをしてみましょう。
動画内、いちばん最初の「タラララ、タッター」と弾いていますが、今回はそこをテーマとして、アドリブを弾いてみました。アドリブ中にもう一回このフレーズを挟んでいます。
こちらの本はアドリブに興味が出てきた、始めたての方におすすめの本です。アドリブする上で必要なことや、考え方なども記載されています。
テーマの繰り返しが“それっぽさ”を作る理由
演奏中に何度も同じフレーズが登場することで、聴く人は「この曲には芯があるな」と感じます。
逆にテーマがないと、どれだけ速く弾けても「ただの音の羅列」として聴こえてしまうことも。

初心者のうちは、むしろ音数を減らして、テーマのリズムと抑揚に集中するのが近道です。
テーマが浮かばない時は「聴く」ことから始めよう


「テーマを作ってみよう!」と言われても、そもそも何を作ればいいか分からない…。
そんなときは、まず“聴くこと”から始めてみましょう。
真似ることは恥ずかしいことじゃない
ギターがうまくなっていく過程で、多くのプレイヤーが通るのが“耳コピ”や“フレーズの真似”です。
プロのギタリストたちも、最初は憧れの演奏をそっくりそのままコピーしていたと言います。
「オリジナルのフレーズを生み出さなきゃ!」と焦る必要はありません。
まずは誰かのテーマを借りることが、上達への近道です。
Lari Basilioさんから学ぶ“歌うテーマ”
たとえば、ブラジル出身のギタリスト Lari Basilio(ラリ・バジリオ)さんの楽曲「Your Love」には、まさに“歌うようなテーマ”が展開されています。
その中のあるリズムフレーズを参考にして作ったのが、先ほどの
「♪タラララ、タッター」という簡単なフレーズです。
シンプルだけど心に残る。そんなテーマこそ、アドリブのベースになります。
「引き出し」を増やせば、自然とオリジナルが出てくる
良いテーマが思いつかないときは、単純に素材が足りていない状態とも言えます。
だからこそ、いろんなジャンルの曲、特にインストゥルメンタルやバラード系を意識的に聴いてみましょう。

そんな感情を大切にしながら、自分の中に“フレーズの引き出し”を蓄えていくことで、いつしか自分だけの「テーマ」が自然と生まれてきます。
まとめ
ギターでアドリブを楽しむには、まず以下の3つの基本要素が土台となります。
この3つを理解しながら、「テーマ(リフ)」という“芯”を演奏の中に持たせることで、アドリブは格段に音楽的になります。
しかも、そのテーマは難しい必要はまったくありません。
- たった2〜3音でもいい
- リズムに特徴があればOK
- 同じフレーズを繰り返すことで“まとまり”が生まれる
テーマを決めることで、アドリブの自由度は逆に広がります。
なぜなら「戻ってくる場所」「支柱」ができるから、安心して展開や変化をつけられるからです。
最初の一歩は、小さなフレーズひとつ。
バッキングトラックを流して、お気に入りのコード進行に合わせて、あなた自身の「テーマ」を見つけてみましょう。
きっと、ギターがもっと自由に、もっと楽しく感じられるはずです。
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