ELLEGARDENがTVアニメ『ONE PIECE』のオープニング主題歌「カーマイン」をリリースします。
これはバンドとして初のアニメタイアップであり、かつて“タイアップに乗らない”スタンスを貫いてきた細美武士さんにとっても大きな転機です。
では、なぜ今回に限って「タイアップOK」となったのか?
その理由を、過去の発言・作品の背景・今の心境の変化から読み解いていきます。
ELLEGARDENはなぜこれまでタイアップを避けてきたのか?

細美武士さんはインタビューやライブMCなどで、商業的に音楽を利用されることに慎重なスタンスをとってきたと言われています。
特にELLEGARDENは2000年代、「自分たちの伝えたい音だけを鳴らす」「楽曲の意味が他人の手で書き換えられることを避けたい」という信条で、テレビ・CMのタイアップを避けてきたバンドとして知られています。
明言はされていないものの、ファンの間では
「ELLEGARDENにはタイアップ曲がない=“信念の象徴”」
というイメージが広く共有されていました。
実は過去にもタイアップはあった?
完全にタイアップゼロというわけではなく、ELLEGARDENはこれまでにいくつかの番組・CMへの楽曲提供実績があります。
楽曲名 | タイアップ内容 |
---|---|
Bare Foot(2001年) | TOYOTA「HEART LABEL」CMソング |
右手・風の日(2002年) | OVA『I’ll』エンディングテーマ |
ジターバグ(2003年) | TBS系『COUNT DOWN TV』エンディング |
Space Sonic(2006年) | NHK『サラリーマンNEO』ほか複数番組で使用 |
Mr.Feather(2006年) | NHK『サラリーマンNEO』挿入歌 |
Strawberry Margarita(2022年) | Amazon Music TV-CM |
風の日(2023年) | ライオン「NONIO」CM |
しかし、これらはすべて既存曲の起用であり、「書き下ろし主題歌」は今回が初です。
細美さんは過去にタイアップやコラボについて語ったことがある?
現在のところ、細美さんがタイアップやコラボについて明言したインタビューなどはありませんが、過去の報道などから以下のような姿勢が見えてきます
つまり、これまであえて避けていたというよりも、細美さんにとって「本当に届けたい相手とタイミング」が今回初めて一致したのだと考えられます。
なぜ「ONE PIECE」ならOKだったのか?
2025年、ELLEGARDENは初めて「書き下ろしのアニメ主題歌」を手がけました。その理由は、
「細美さん自身がONE PIECEの長年のファンである」
という、個人的で純粋な動機にあるとされています。
公式発表によれば、オファーを受けて「ワンピースのためならぜひ」と快諾。これは“売るため”ではなく、“伝えたい作品に共鳴したから”こその決断です。
今のELLEGARDENだからこそ“受け入れられた”理由
この転換には、バンドとしての成熟や再始動後の歩みも関係していると考えられます。
1. アルバム『The End of Yesterday』を通じて得た自信と成熟
細美さんは2022年リリースの『The End of Yesterday』について、「当時の自分たちには絶対に作れなかったものができた」と語っており、現在のELLEGARDENは創作面で新たなピークを迎えていると認識しています。
2. 「やりたいことしかやらない」という再始動後の軸
インタビューでは「やっぱりやりたいことしかやんない!」と語るなど、再始動後のELLEGARDENは自分たちが納得できるものしか選ばないという信条を明確にしています。
今回の『ONE PIECE』主題歌も、その延長線上にある「やりたいこと」だったと見られます。
3. 音楽の届け方の再定義
ストリーミングやメディア環境の変化にも向き合いながら、「どうすれば今のリスナーに届くか」という視点を持つようになった細美さん。
ONE PIECEのような国民的作品と手を組むことは、“共鳴できる場”として最適だった可能性があります。
つまり、伝えたいものを持った今だからこそ、伝える手段としてタイアップを選んだと考えると自然です。
「なぜ今?」と感じたファンの声とその背景
SNS上では、
というファンの葛藤と信頼が入り混じった反応が見られます。
この背景には、ELLEGARDENがファンにとって
“自分だけの存在” “商業と無縁の場所”
であってほしいという願いがあり、それだけにこの選択の意味が大きいことを物語っています。
まとめ
- ELLEGARDENは長らくタイアップを避けてきたバンドだが、今回の『ONE PIECE』との書き下ろし主題歌は、細美さん自身の意思によって実現した特別な事例である。
- バンドとしての創作的成熟、自分たちの信念に一致する相手との出会い、音楽の届け方の再定義——これらの要素が重なったことで、「今だから受け入れられた」タイアップと言える。
- “媚びない”音楽を貫いてきた彼らが、“自ら選び取った”初の主題歌。
この選択が、今後のELLEGARDENにとっても、ファンにとっても、新たな転機となるかもしれません。
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